【魅力的なifストーリー】『ゼルダの伝説 厄災の黙示録』レビュー

ゲーム
発売日: 2020年11月20日
シリーズ: ゼルダの伝説
販売元: コーエーテクモホールディングス
ジャンル: アクションゲーム
プラットフォーム: Nintendo Switch

 

ハイラル王国に何度となく襲いかかる大厄災。

 

封印しても復活を果たし、100年前に現れた際には王国全土にかつてない脅威をもたらした。

 

いかにして多くのガーディアンや神獣が奪われるにいたったのか。

 

いかにして選ばれし4人の英傑は打ち倒されたのか。

 

本編で断片的に語られた物語のベールが紐解かれていく。

 

そして、その先で私たちは体験することになるだろう。

 

1匹の勇気ある行動が多くの者に光を与えた『知られざる真実』を。

 

 

 

100年前の世界を舞台としたifストーリー

 

本編『ゼルダの伝説 BOW』の舞台は、100年前に復活した厄災により滅ぼされた世界だ。本編では、残された人々の話や記憶を辿ることで断片的に100年前の世界を知ることが出来る。

 

しかし「どのようにして厄災は復活したのか」「どのようにして英傑たちが打ち倒されたのか」といった物語の詳細は不明のままであった。

 

「今こそ話そう。100年前に何があったのか」というキャッチコピー通り、本作の舞台は100年前のハイラル王国だ。

 

その言葉通り、過去の真実が紐解かれていく。

 

しかしながら、当然プレイヤー達は結末を知っている。厄災ガノンが復活し、神獣を操る英傑達が倒され、ハイラル王国が絶望の淵に立たされるという結末を。

 

予想通りでは魅力に欠ける、そう思ったクリエイター達が未来から送り込んだのが一匹のガーディアンだ。

 

「過去を変えるためにやってきた」小さなガーディアンにより物語は大きな変化を迎える。

 

英傑たちの子孫によって、”厄災ガノンに倒されるはずだった”英傑は窮地を脱し、子孫たちと協力して厄災ガノンへ立ち向かっていくというifストーリーに切り替わる

 

100年前の物語を完全に再現していないことに関しては賛否両論あるかもしれないが、管理人は非常に満足している。

 

英傑達が未来の戦士たちに助けられ、力をあわせながら強大な敵に立ち向かっていく。時には胸を熱くさせる場面の数々と王道ストーリー。

 

クリア後の爽やかな達成感は、やはりこの展開無しでは成し得なかっただろう。

 

もちろん、否定派の意見も分かる。実際に起こった「絶望の物語」を追体験したかったプレイヤー達には、物足りなさも残るかもしれない。

 

欲を言えば「最初のストーリーでは真の物語を。クリア後に、ifストーリーを。」という二段構えであったならば、より多くのプレイヤー達の共感を得られていたに違いない。

 

英傑の知られざる素顔と子孫たちとのやりとり

 

100年前の立役者だった英傑達は『ゼルダの伝説 BOW』にも出演するものの、すでに亡くなっているため出番は限られていた(それでも、絶大な人気を誇るのだから見事な描き方だ)

 

魅力的な英傑達をさらに輝かせるのが、本作で見せる新たな一面だ。

 

なかでもリーバルが筆頭だ。どうしてリンクに対して否定的であったのか、本音はどう思っていたのか。それらが紐解かれていくと同時に魅力が高まっていく。

 

他の英傑達も同様で、もともと持っていた魅力を存分に引き出したエピソードが満載だ。特に、幼い頃の姿を知っているミファーとシドのやり取りが秀逸で、ifストーリーならではの、英傑と子孫とのやり取りが素晴らしい。

 

話でしか聞いたことが無い伝説の英傑に対して、素顔を見た子孫たちの反応や、その反応に対する英傑たちの返し方。見ていて自然と顔が綻んでくる。

 

統一された操作方法とキャラクターのオリジナリティー

 

リンク以外のキャラクターを多く操作出来ることも、本作の大きな魅力の一つだ。

 

「このキャラクターは当然使えるだろう」という者から「え?このキャラクター使っていいの?」という者まで様々だ。

 

操作方法は統一しておきながらも、操作によって繰り出される技がキャラクターのオリジナリティーを感じさせる。

 

そして、その技のどれもが「このキャラクターなら、きっとこういう技を繰り出すだろう」とプレイヤーを納得させる作りになっているのが素晴らしい。

 

考え抜かれた操作方法と繰り出す技の数々、無双でしか味わえない楽しさだ。

 

舞台完成度の高さに感じる感動と物足りなさ

 

まるで『ゼルダの伝説 BOW』の世界そのものを取り込んだようなステージには脱帽させられる。

 

駆ける草原、流れる川、荘厳な建物など、冒険するプレイヤーの眼前には体験した『ゼルダの世界』が広がっている。100年前の舞台を駆け巡る冒険には感動してしまう。

 

一方、完成度の高さゆえに気になる点もある。

 

本編では広がる世界のどこにでも移動することが出来たことに対し、本作では(ゲームの都合上という面もあるが)移動出来る場所に限りがある。

 

本編の魅力は、壁を登ったりパラセールを使い縦横無尽に駆け回ることだった。その魅力を意識するプレイヤーには物足りなさも残るかもしれない。

 

無双の爽快感と謎解きの要素はミスマッチ

 

ゼルダシリーズの最も大きな魅力のひとつは「謎解き」だ。

 

リンクに与えられた能力と周りの地形を利用して困難を切り開いていく「謎解き」は、ゼルダシリーズの醍醐味とも呼べるもので、謎解き後の心地よい効果音がプレイヤーの爽快感を高めてくれる。

 

本作はゼルダとのコラボということで大いに期待したいところではあったが、謎解き要素は少なめだ。

 

「謎解き」の試行錯誤に要する時間は、サクサク進む爽快感を求める無双シリーズに十分に組み込むことは難しかったようで、謎解きを期待している方は肩透かしを喰らうことになるだろう。

 

あくまでも謎解きは本編で楽しんでもらい、本作は無双の爽快感を味わってほしいというのがコンセプトのようだ。

 

本編でしか味わえない魅力は薄れているものの、本編では味わえない「強敵を薙ぎ倒していく魅力」を楽しむことが出来るのは本作だけの特権だ。

 

オリジナル要素の神獣操作は爽快感あり

 

本作ならではの要素として4つの神獣操作が挙げられる。

 

巨大な敵よりも遥かに大きな神獣を操って薙ぎ倒していくのは実に爽快だ。

 

ジャイロを使った操作に慣れるのがやや難しかったり、単調な作業となりがちという欠点はある。ただ、神獣操作のステージが少ないため、大きな欠点には繋がっていない。

 

本編の戦闘では全く使えなかった神獣を自身の意思で動かせるというのは、本作だけの魅力だ。

 

ふんだんに込められたゼルダ愛を体感しよう

 

シーカーストーンを用いた戦闘やコログ探しなど、本編の要素が多く取り入れられている。

 

ふんだんに込められたゼルダ愛が感じられて好感が持てる(任天堂が監修しているので当然といえば当然かもしれないが)

 

本編を楽しんだけれど、もっともっと楽しみたいという方にはうってつけの作品だ。

 

本作では100年前の災厄を完全に追体験することはできないが、それ以上に素敵な物語が待ち受けている。

 

今一度マスターソードを手に取り、ハイラル王国を救う冒険に出てみてはどうだろうか。

 

 

ココが良かった

✔︎ 『ゼルダの伝説 BOW』の世界を堪能できる
✔︎ 過去と現在のキャラクターのやり取り
✔︎ 絶望から希望へと変わる熱い展開
✔︎ キャラのオリジナリティーを大事にしつつ操作方法が統一している
✔︎ 各所に見られるゼルダ愛

ココが気になった

✔︎ 「真実の過去」とは異なる展開
✔︎ 謎解き要素が少ない(ほぼ無し)
✔︎ 移動に関して『ゼルダの伝説 BOW』ほど自由度が無い

こういう方にオススメ!

✔︎ 『ゼルダの伝説 BOW』の世界を縦横無尽に駆け回りたい
✔︎『ゼルダの伝説 BOW』の登場人物(特に4人の英傑)が大好き
✔︎ リンク以外のキャラクターを自由自在に操りたい
✔︎ 王道ストーリーが好き
✔︎ 無双シリーズが好き

 

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